駐車場28台完備
TEL.088-602-7722
徳島市山城町西浜傍示162-1
耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域には様々な疾患があります。一般的に皆さんに知られていない疾患などもたくさんありますので、ご相談があればお気軽にお越しください。代表的な疾患を簡単に説明させていただきますので、ご参照ください。
耳の疾患にはいろいろな症状があり、急を要する疾患もあります。痛み、かゆみ、耳だれ、耳閉感、難聴、耳鳴りなどの症状がありましたらまずは耳鼻咽喉科にてご相談ください。
外耳は耳介と外耳道からなり、炎症の場所により耳介炎と外耳道炎に区別されますが、外耳道炎(耳の穴から鼓膜までに炎症が起きる病気)がほとんどです。外耳道炎では、耳の痛みやかゆみ、耳だれ、聞こえにくくなる、耳がつまった感じがするなどの不快な症状を伴います。 原因は、耳掃除をしすぎて外耳道を傷つけてしまうことがほとんどです。耳内の消毒や投薬で改善します。中にはカビが生えている外耳道真菌症を合併している場合もあります。
耳介の発赤や腫脹、水疱が出現した場合は、顔面神経麻痺やめまい、難聴を発症するハント症候群の前兆である可能性や耳介軟骨膜炎の可能性もあります。耳の症状がある場合は、専門医の診察が必要です。
長い間自分での耳掃除を行うことで外耳道を傷めてしまうことにより、そこに炎症が生じて限局性骨膜炎を起こします。病巣部に外耳道皮膚上皮が進入して骨の露出・腐骨(ふこつ)形成を呈するものです。放置すると外耳道の骨破壊が進行するため大きな合併症を引き起こすことがあり、病変が広がっている場合には手術を必要とすることがあります。外耳道に限局して堆積する耳垢を適切な方法で、定期的に除去することで悪化を防ぐことが可能です。
耳垢がつまってしまい、洗髪時に入った水などで耳垢が張り付くと急に聞こえなくなったりすることがあります。また、生まれつき柔らかい軟耳垢(ベトベトした耳垢)の方は耳掃除が難しいため、耳垢栓塞になりやすい傾向があります。耳の中は自分で適切に掃除できておらず、耳垢を押し込んでしまったり外耳道を損傷してしまったりすることが多いですので、心配な方は受診してください。小さなお子さんの耳掃除も当院で行っています。
内耳の蝸牛(かぎゅう)が何らかの原因により障害を受けたため、突然に難聴を発症する病気です。通常、片耳に発生します。また、耳鳴りや耳が詰まった感じ、めまいが難聴の発生と前後して生じることがあります。一般に、聴力が悪い場合、めまいを伴っている場合に予後が悪いことが知られています。原因は、いまだはっきりとわかっていませんが、内耳の障害の原因としてウイルス感染説、循環障害説などが考えられています。一般的な治療は、「安静」と「ステロイド(副腎皮質ホルモン)」や血管を拡張して内耳の循環を良くする「血管拡張薬」などの投与です。
難聴が発生してから、できるだけ早期に治療を開始するほど予後が良好である(聴力が改善する)といわれています。できれば48時間以内、遅くとも2週間以内には治療を開始するのが望ましく、1カ月を過ぎた場合には大きな治療効果は期待しにくくなります。
難聴が完治する場合、ある程度改善する場合、聴力の改善が見られない場合があり、治療開始が遅れるほど回復が難しくなります。また、早期に治療を受けた人でも、人によって完治が難しい場合もあります。症状が重度な場合や治療開始が遅れた場合は、後遺症として耳鳴りやめまい、難聴のような症状が残ってしまうことがあります。後遺症を残さないためにも、すぐに耳鼻科で診断を受け早期治療を受けることが大切です!
過去に突発性難聴と診断されたことがあり、再び同じような症状が出た場合には突発性難聴以外の別の病気の鑑別が必要です。
難聴には感音難聴・伝音難聴・混合性難聴があり、標準純音聴力検査により難聴の種類と程度を確認します。難聴の原因の精査が必要と思われる場合は、画像診断(CTやMRI)を行い、専門機関に紹介します。
高度難聴で身体障害認定基準を満たしている場合は、身体障害者認定(身体障害者福祉法第15条指定医が認定)を行います。認定後、認定医が補装具(補聴器)意見書を作成すると、補聴器購入時の補助が得られます。補聴器購入ご希望の場合はご相談ください。
鼻と耳は「耳管」という細い通り道で繋がっており、通常はほぼ塞がったような状態になっていますが、つばを飲んだりあくびをしたりすると一瞬開きます。このように開閉し空気が通ることにより鼓膜により境界される外耳道の気圧と中耳(鼓膜の奥)の気圧を一定に保っています。航空機では、離着陸時の急激な気圧の変化が起こるため、耳管が閉じたままになり、鼓膜の内側と外側で圧力の差が生じて耳が痛くなることがあり、航空性中耳炎をおこすことがあります。
耳管が塞いだままになった状態のことを耳管狭窄症といいます。原因は滲出性中耳炎、風邪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、鼻の炎症など様々です。耳管狭窄症では軽度難聴、滲出性中耳炎を起こすことがあります。耳管開口部の炎症を取り除くのが基本で、鼻の処置、鼻ネブライザーを行います。難治性滲出性中耳炎の場合は上咽頭腫瘍が原因になっている場合があるので、内視鏡で確認をおこないます。
一方、耳管が開いたままになった状態を耳管開放症といいます。こちらは体重減少、顎関節症、妊娠、ストレスなどが原因で発症することが多い傾向にあります。耳管開放症では自分の声が響いて聞こえたり、自分の呼吸音に悩まされたりします。投薬や処置での改善が見込めます。
鼻炎、副鼻腔炎やアデノイドや扁桃の炎症、咽頭炎などが起こると細菌が鼻腔の奥にある耳管を通って中耳へ進入して炎症をおこし、急性中耳炎を発症します。特に、乳幼児はお母さんからもらった免疫力がなくなる年齢であり、また、耳管機能が未発達な事も関係して中耳炎を引き起こしやすくなります。年齢とともに耳管が発達してくる頃(小学校就学時の頃)になるとと中耳炎になりにくくなります。急性化膿性中耳炎では、激しい耳痛、難聴、耳漏など耳の症状が現れます。鼓膜を破って膿が出るまで高熱、全身倦怠感が続きます。一般に膿が排出されて炎症がおさまれば症状は軽快しますが、症状が改善せず重症になると危険な合併症を伴い、入院治療が必要になることがあります。早期に処置(鼓膜切開術など)や投薬を受けることが大切です。
鼓膜の穿孔(穴が開いている状態)を伴う中耳炎であり、穿孔を通して外耳道から細菌が中耳腔に入ることより耳漏(耳からの膿などが流れ出すこと)を繰り返したり、また鼓膜の穴のために音の振動が十分に伝わらなくなるために難聴を来たします。耳漏が出現する場合には抗菌薬投与や耳処置により改善します。手術により鼓膜穿孔部に鼓膜を張ることができる場合があります(鼓膜形成術、鼓室形成術Ⅰ型)。手術により聴力改善が見込めるかどうかは術前に評価することが可能ですので、ご希望の場合はご相談ください。
副鼻腔炎、急性咽喉頭炎、かぜ、アレルギー性鼻炎、アデノイド肥大など、耳管周囲の炎症を引き起こしやすい疾患により耳管の働きが悪くなり、鼓膜より奥の中耳腔に貯留液がたまってしまう滲出性中耳炎を発症します。(耳管狭窄症、耳管開放症の項目をご参照ください。)原因の治療により改善が見込めますが、治りにくい場合には鼓膜を切開して貯留液を排出させたり、鼓膜チューブを留置します。
成人は耳管狭窄症により生じることが一般的ですが、治りにくい場合には上咽頭腫瘍(耳管周囲の腫瘍)が原因の場合があり、内視鏡での確認が必要です。小児では急性中耳炎(急性中耳炎の項目をご参照ください。)の治癒過程で生じることが多く、痛みや発熱を伴わないことがほとんどです。アデノイドが影響している場合は手術での改善が見込める場合があります。幼少児はうまく訴えられないために、ご家庭で滲出性中耳炎を発症していることに気づかれないことがよくあります。特に乳幼児は言語発達に影響を及ぼすことがありますので、早期発見と治療が必要です。テレビの音が大きい、大きな声でおしゃべりする、呼んでも振り向かない、返事をしない、鼻炎や風邪が長引く時は要注意です。滲出性中耳炎は発症してしまうと治療が長期間にわたりやすい疾患です。さらに一度治癒しても再発の可能性が高い疾患です。耳管機能が安定してくる就学年齢以降には改善してくることが多いですので、そのころに後遺症を残さないように定期的な診察と処置を行っていきます。滲出性中耳炎の治療は根気よくやりましょう!
真珠性中耳炎、耳の腫瘍など手術を要する疾患は、徳島県内基幹病院に紹介させていただき専門的な治療を受けていただきます。
鼻出血や鼻閉、嗅覚障害は危険な疾患が隠れている場合があります。当院では内視鏡を用いて原因を精査します。必要な場合は画像検査(CTやMRI)による精査を行います。
当院では内視鏡で鼻腔内の出血源を確認します。出血源が分かれば、出血している鼻粘膜を焼き付けて止血する凝固焼灼処置やガーゼ挿入による圧迫止血などの処置を行います。入院を要するような危険な鼻出血の場合は、適切な処置を行ったうえで、入院が可能な徳島県内基幹病院に紹介させていただきます。
鼻腔と副鼻腔は自然口という小さな穴で連絡しています。副鼻腔(骨の空洞)には、前頭洞、上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞があり、これらの副鼻腔に急性の炎症が起こることを急性副鼻腔炎といいます。
かぜに引き続いて鼻腔内の細菌感染が副鼻腔に波及することで、副鼻腔内で急性の炎症を起こし、膿(うみ)がたまります。症状は、痛みと悪臭を伴う膿性鼻汁です。上顎洞に炎症を起こした時には頬部の痛み、篩骨洞に炎症を起こした時には眼の内側の痛み、前頭洞に炎症を起こした時にはおでこの痛み、蝶形骨洞の炎症では頭痛や頭重感が特徴です。近くにある眼や脳に炎症が進展する場合がありますので、早めに治療を受けてください。
一般に急性副鼻腔炎が治らずに慢性化したものを慢性副鼻腔炎といいます。一般的な慢性副鼻腔炎とは別に、気管支喘息を伴う慢性副鼻腔炎があります。一般的な慢性副鼻腔炎と比べ、鼻茸が多発し、鼻汁は非常に粘りがあり、難治性となります。投薬、処置、手術治療などで改善する場合もありますが、その後も定期的な投薬処置を要する場合があります。
「くしゃみ、鼻水(水様性)、鼻づまり」に悩まされ、日々の仕事にも差し支えるような集中力の低下を伴うことがあります。 アレルギー性鼻炎は、年間を通して起こる「通年性」と一定の季節に限って起こる「季節性」の2種類に分けられます。
「通年性」主な原因はハウスダストとダニです。他の原因には猫や犬などのペットが知られています。
「季節性」ほとんどはスギやヒノキ、ブタクサなどの花粉が原因です。
検査は、まず鼻炎の症状がアレルギー性かどうかを調べます。検査には問診、鼻鏡検査、血液・鼻汁好酸球検査などがあります。
また、アレルギー性であれば何が原因になっているかを検査します。血液検査による血清特異的IgE抗体検査は、アレルギーと関係するIgEという抗体がどんな種類のアレルゲン(アレルギーの元となる原因物質)と結びつくかを調べるものです。アレルゲンを同定することにより、アレルゲンの回避や治療の方法の選択をすることができます。
スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎の治療法のひとつに、アレルゲン免疫療法があります。
アレルゲン免疫療法は、100年以上も前から行われている治療法です。主には、アレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)を含む治療薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」が行われていましたが、近年では治療薬を舌の下に投与する「舌下免疫療法」が登場し、自宅で服用できるようになりました。
「舌下免疫療法」は、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎と確定診断された患者さんが、治療を受けることができます。5歳以上の小児から治療可能です。必ず、初回は院内で医師の監督のもと服用していただき、服用後30分程度大きな副作用が出ていないことを確認します。その後、2日目からは自宅で服用します。
1日1回、薬を舌下に1分間保持し、そのあと飲み込みます。その後5分間はうがい・飲食を控えます。服用される前後2時間は、激しい運動、入浴、飲酒をさけていただきます。薬は数年間(3年程度)にわたり継続して服用します。
スギ花粉症、ダニアレルギー性鼻炎ともに長期にわたり、正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。症状が完全におさえられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。
一般的な副作用は、口の中の副作用(口内炎や舌の下の腫れ、口の中の腫れなど)、咽喉(のど)のかゆみ、耳のかゆみ、頭痛ですが、症状は短時間で消失することが多く、アレルギーの薬を併用することで副作用を抑えることも可能です。ごくまれにショックやアナフィラキシーなど重大な副作用が生じることがあるため、服用初期は注意が必要です。
舌下免疫療法は、保険適応で薬価も安価であり、非常に高い効果が見込める治療です。アレルギー性鼻炎の治療薬で眠気が出やすい方や薬を減量したい方、アレルギー症状により集中力低下や日常生活に支障をきたしている方、舌下免疫療法に関心がある方はお気軽にご相談ください。
※スギ花粉症の舌下免疫療法は、スギ花粉飛散期に治療開始することができませんので、治療を希望される方は、花粉飛散が落ち着いた6月から11月ごろに受診してください。
口腔粘膜に、円形の浅い潰瘍(アフタ)ができるもので、1個の場合もあれば、多数できる場合もあります。
ものが触れると強く痛んだり、食べ物がしみたりします。1週間程度で治ることが多いですが、中にはアフタが再発をくり返す再発性アフタがみられることもあります。過労、精神的ストレス、胃腸障害、ビタミン不足、ウイルスの感染、女性では妊娠、月経異常といった内分泌異常などが誘因になりますが、原因はまだ不明です。眼や皮膚、外陰部の病変を伴う場合は、ベーチェット病の鑑別が必要です。原因となる誘因の検査を行ない、口腔内(こうくうない)の炎症状態、部位の観察を行ないます。
治療としては、ステロイド(副腎皮質ホルモン)軟膏をアフタのできている部位に塗ります。
舌炎が起こるのには、さまざまな原因があります。舌のやけどや、誤って噛んでしまうなど、何らかの原因で傷ができた場合や、歯や金属冠の慢性的な刺激によるものなどがあります。慢性的な舌の刺激は、悪性腫瘍の発生母地となる場合があるため歯科で早めの治療が必要です。また、ビタミンB2不足や、貧血、胃腸疾患などの全身疾患や服用している薬の副作用などでも発症します。
そのほか、舌の形状が原因になることもあります。溝状舌という、舌の表面に複数の溝が見られる舌は、汚れがたまりやすく、炎症が起こりやすくなります。また、舌や口腔内にカビが生えて痛みを伴う場合があります。それらは適切な治療により改善します。
食事性や薬剤性、全身疾患等によるもの、口腔の病気によるもの、亜鉛欠乏症によるもの、心因性のものなど味覚障害の原因はいろいろあります。原因を調べることが大切です。
その他
舌や頬粘膜、口腔内の腫瘍など専門的な加療を要する疾患は徳島県基幹病院に紹介させていただきます。
舌や頬粘膜、口腔内の腫瘍など専門的な加療を要する疾患は徳島県基幹病院に紹介させていただきます。
原因はウイルスの 感染や細菌感染が主ですが、鼻炎から発症することもあります。 のどの不快感、痛み、発赤、嚥下痛(えんげつう)など喉の症 状に加えて、発熱、倦怠感(けんたいかん)、 声がれ(嗄声(させい))、乾いた咳(せき)、のどの乾燥感、 異物感などが急性喉頭炎の症状です。のどが腫れた場合は呼吸ができなくなり窒息する場合があり危険です。早めに咽頭喉頭内視鏡検査でのどの状態を確認してもらいましょう。
急性扁桃炎は口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)の化膿性の炎症でウイルスや細菌に感染して起こります。原因菌として溶血性レンサ球菌、ブドウ球菌、肺炎球菌が多くみられます。感染した扁桃は赤く腫れ、痛みや高熱(38~40℃)を伴います。嚥下痛だけでなく安静にも痛みが出現し始め、経口摂取ができなくなることがあり入院治療を必要とします。また扁桃周囲炎や扁桃周囲膿瘍を引き起こすと、膿瘍が広がることにより緊急手術を要する状態になることがあります。口蓋扁桃炎は何度も繰り返すことが多い疾患ですので、症状が出始めた場合は早めに受診して治療を受けましょう。
発声時には左右の声帯が中央に近寄り、呼気を出しながら両側の声帯を振動させることで声が出ます。また嚥下(えんげ)時には、嚥下したものが気管に入り込まないように左右の声帯は強く接触して気道を完全に閉鎖します。反回神経(声帯を動かす神経)麻痺によりこのような声帯の運動が障害されると、息もれするような声がれや、誤嚥(ごえん)、むせるといった症状が起こります。脳幹から声帯まで神経が通る長い経路のどこで障害が起こって反回神経麻痺が発生している場合には良性・悪性腫瘍や大動脈瘤など重篤な疾患が原因となっていることがあり精査が必要です。声がれや誤嚥、むせがある場合は内視鏡検査による確認を受けましょう。また、当院では誤嚥があるかどうかの確認(嚥下内視鏡検査)も行っています。誤嚥による嚥下性肺炎は高齢者の命にかかわる疾患です。食事のときのむせが気になる場合はご相談ください。
良性、悪性にかかわらず手術治療を必要とする場合があります。悪性腫瘍では、放射線治療や化学療法(抗がん剤の投与)により完治できるものもあります。早期発見が重要です!のどの痛み、違和感、声枯れがあり、喫煙歴、飲酒歴がある方は、内視鏡による検診をお勧めします。
シェーグレン症候群は涙や唾液を作りだしている涙腺、唾液腺などの外分泌腺に慢性的に炎症が生じ、涙や唾液の分泌が低下、乾燥症状を呈する自己免疫性疾患です。女性に多く、発症年齢は50歳代です。シェーグレン症候群は単独で発症する原発性シェーグレン症候群と、他の膠原病に合併して発病する二次性シェーグレン症候群があります。二次性シェーグレン症候群は、関節リウマチや全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎・皮膚筋炎などに起こります。治療は腺症状(ドライアイ・ドライマウス)に対しては、涙や唾液を補充する対症療法が主体です。ドライマウスに対しては、人工唾液や保湿成分が入ったジェルの口腔内塗布などが用いられます。また唾液そのものを出しやすくする薬の内服で症状緩和が得られることもあります。シェーグレン症候群は慢性に経過する疾患なので、日常生活での注意も大切です。スマートフォンやパソコンの使用による眼の酷使を避け、眼の乾燥を防ぐ工夫をしたり、口腔内乾燥により虫歯や歯周病になりやすくなるため、歯磨きやうがいにより口腔内を清潔にし、定期的に歯科診察を受けましょう。
耳下腺・顎下腺・舌下腺・小唾液腺などの唾液腺は唾液を産生し、口腔内に排出するところです。
唾液腺に生じる唾液腺炎の原因は、口腔常在菌による感染、ウイルスによる感染、または自己免疫性疾患などがあります。唾液分泌が低下すると口腔の常在菌(細菌)が導管(唾液腺の腺房から唾液を口腔内に導く管)より侵入し、化膿性唾液腺炎となります。唾液腺に炎症が生じると耳下腺や顎下腺が腫脹し、さらに唾液腺周囲にも炎症が拡大して強い痛みを伴います。炎症時に耳下腺や顎下腺を圧迫すると、口腔への開口部から排膿がみられます。唾液腺炎は耳下腺に多く現れ、次いで顎下腺にみられます。抗菌薬などを投与することにより改善が見られますが、膿瘍(膿がたくさんたまっている状態)を形成した場合は切開手術が必要になります。
唾石症(唾液腺の中に石ができて形成された唾液が排出できずに唾液腺が腫脹する)、ガマ腫、耳下腺腫瘍や顎下腺腫瘍など手術を要する疾患は、当院で対応できない場合は手術が可能な徳島県内基幹病院に紹介させていただきます。
典型的には寝返りや、起き上がった時、寝た時などに回転性(ぐるぐる回るような)めまいが起こります。1回のめまいは数秒から数十秒が多く、長くても数分でおさまります。耳鳴りや難聴はありません。耳石が剥がれ落ちて半規管内の浮遊することによりめまいが起こるので、頭を動かしながら眼の動きを見る検査(眼振検査)で診断をします。原因の三半規管がわかれば、元の卵形嚢に戻す浮遊耳石置換法で治療できる場合があります。自然に治癒することも多く、積極的にめまいを起こす体操をすると早く改善することが多いですが、強いめまいがあるときに無理に動いて転倒すると危険です。また、良性発作性頭位めまい症の中には回転性ではなく浮動性(ふわふわする感じ)めまいを発症するものもあります。詳細な検査や診断が必要な場合には、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
メニエール病は内リンパ水腫(内耳のリンパが増え、水ぶくれの状態)」が起こることにより発症します。一般的にめまい=メニエール病と考えがちですが、メニエール病には厳密な診断基準があり、難聴、耳鳴り、耳が詰まる感じなどの聴覚症状を伴うめまい発作を反復することで診断されます。ここで一番大切なのは「反復する」という点です。めまい発作や難聴発作が1回起きただけではメニエール病とは診断できず、メニエール病の初回発作では、めまいを伴う突発性難聴と鑑別が困難です。診断基準を満たし、他の病気を除外できたものを「メニエール病確実例」と診断します。また、聴覚症状のみ、めまいのみをくり返すタイプは「メニエール病非定型例」と診断します。非定型例は確実例よりさらに除外しなければならない病気が多く、厳密な検査と経過観察をすることが推奨されています。めまい止め・利尿剤を中心とした投薬を行いますが、難聴が生じた場合にはステロイド治療を行うことがあります。メニエール病にはストレス・睡眠不足・疲労が関与していると考えられており、薬による治療だけでは根本的な治療にはなりません。薬をうまく使いながら、生活面でのストレスのセルフコントロールをしていきましょう。
前庭神経炎では、悪心や嘔吐を伴う激しいめまいが突然起こります。しかし、難聴は伴わないことが特徴です。
平衡感覚をつかさどる前庭神経が障害されて発症すると考えられていますが、明らかな原因はわかっていません。
前庭神経炎は、めまいの症状を改善する薬や、副腎皮質ステロイドで治療します。しかし、立ちあがった時や歩行時のふらつきなどの症状が、長期間残る場合もあります。前庭神経炎の慢性期の症状を改善するには、抗めまい薬で症状を緩和しながら平衡訓練などを行いましょう。
副院長専門分野であり、当院では急性期、慢性期、後遺症の治療が可能です。
県外からお越しの方は、必ず事前に電話連絡いただけますようお願いいたします。診察時間等はご相談させていただきます。徳島大学病院耳鼻咽喉科顔面神経外来と連携した治療も行います。
突然片側の顔面が麻痺をして動かなくなる病気です。発症時の麻痺の程度は様々ですが、発症してから2週間程度は麻痺が進行することが多く、急性期治療でステロイドを投与することによりいかにダメージの少ない神経線維を残せるかが予後につながります。高度に障害された神経線維は神経断裂を起こすため、麻痺残存をおこしたり、神経が再生するときに間違って他の神経線維に再生してしまうことにより病的共同運動(口を動かすと目が閉じる、瞬きをすると口が同時にぴくぴく動く、など)を発症し、後遺症に一生悩む患者さんがたくさんいます。原因の多くはベル麻痺による顔面神経麻痺ですが、水痘・帯状疱疹ウイルス(水疱瘡のウイルス)が原因で発症するハント症候群では、耳介や軟口蓋の水疱、片側顔面神経麻痺、めまい、難聴を引き起こし、重症の顔面麻痺やめまい、高度難聴に苦しむ患者さんもいます。その他、中耳炎、腫瘍、術後の顔面神経障害、外傷などいろいろな原因がありますが、どの原因であっても、顔面神経麻痺後に少しでもきれいに改善するためには、顔面神経麻痺後のリハビリテーションをすることが重要です。急性期、慢性期、後遺症発症後ではリハビリテーションは異なります。また、麻痺や後遺症の程度は個人個人で異なりますのでオーダーメイドの指導が必要となります。手術治療を併用した方がよい患者さんは、患者さんの在住地域を考慮した専門機関へのご紹介が可能です。ボトックス治療を併用したリハビリテーションは徳島大学病院と連携して行います。顔面麻痺になって笑顔を失った患者さんに、必ず笑顔を取り戻してもらえる治療を行っています。自分で満足できる顔に戻れるよう一緒に頑張って治療していきましょう!
ハント症候群予防のために当院では水痘・帯状疱疹ワクチン投与が可能です。ご希望の方はご相談ください。
睡眠時無呼吸症症候群は、空気の通り道が狭くなったり閉塞することにより睡眠中に息がとまってしまう病気です。強い眠気や倦怠感、集中力低下などが引き起こされ、日中の様々な活動に影響が生じてきます。体の酸素が足りなくなることにより、睡眠中も体には大きな負担がかかるため、心臓病医、高血圧、脳卒中、糖尿病など様々な合併症を引き起こします。いびきがひどい方、睡眠中何度も目が覚める方、起床時に頭痛や口渇がある方、日中眠気が強く倦怠感が常にある方など、気になる場合は当院で検査が受けられます。また、小児は成長障害や夜尿、集中力低下を伴うことがあります。手術治療や投薬加療で改善できる疾患が原因の場合もあり、重症の場合にはCPAP治療(鼻に装着したマスクから空気を送りこむことによって、ある一定の圧力を気道にかける方法)を行うことで合併症を予防することができます。お気軽にご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群:SASの定義
晩(7時間)の睡眠中に30回以上の無呼吸(10秒以上の呼吸気流の停止)が出現するものをSASと定義します。1時間あたりでは、無呼吸回数が5回以上(AI≧5)でSASとみなされます。※AI(Apnea Index)=無呼吸指数
睡眠時無呼吸症候群 重症度分類
睡眠1時間あたりの「無呼吸」と「低呼吸」の合計回数をAHI(Apnea Hypopnea Index)=無呼吸低呼吸指数と呼び、この指数によって重症度を分類します。なお、低呼吸(Hypopnea)とは、換気の明らかな低下に加え、動脈血酸素飽和度(SpO2)が3~4%以上低下した状態、もしくは覚醒を伴う状態を指します。
軽症5 ≦ AHI <15 中等症 15 ≦ AHI < 30 重症 30 ≦ AHI
(成人の睡眠時無呼吸症候群 診断と治療のためのガイドライン 2005)